「オールド・ボーイ」

 先日神戸では、ミニシアター系に見たい映画がなく、メジャーな映画館で「オールド・ボーイ」を見る。  
 日本のマンガを韓国で映画化した作品ということだが、最近は劇画を映像化するものが多くなっているが・・・どうも苦手である。 多分この作品もマンガとして見るなら、すんなり受け入れれるのではないかと思うのだが、それが現実の人間が演じる映像となるとどうしたものか素直に受取れなくなる。 
 たとえば血を見る場面などはマンガやアニメの場合はそれほど酷いとは思わないのだが、いったん実写となると目をそむけたくなるし、見ていて気持悪くなって来てしまう。
 またそれ以上にストーリーの展開でも、かなり現実離れしたような無理がある理屈や感覚で展開しても、マンガやアニメなどなら何となく受け入れてしまうのだが、それが生身の人間が演じる映画となるとサラリと受け入れれないで引っかかってしまい、つまづいててしまう。 いったんつまづくと後はダメだとなる。 
 これは年代の問題だろうか、それともマンガを見ている量の問題かな、とも思うが、その辺のことになると自分では判断できない。  それにこの映画のテーマを一言でいってしまえば<復讐>という語で片付くと思うが、おかしな話だが、どうもそれはマンガの世界での<復讐>としか受取れない。 マンガの中であればそれはいわばマンガの中の約束事としての<復讐>と、ごく自然に捉えれるのだが、生の人間が演じる映像だと、そうはいかない。
 テーマについてもマンガも映像もないといえるが、偏見を覚悟で言うならばもしそれがマンガの世界の復讐ならそれはそれで良いと思えるが、実写の映像でのテーマとされると、どうも違和感が生まれてきてしまう。 偏見だろうことは分るが、これはいわば自分の感覚の問題だからどうしようもない。
 マンガの世界を、あえて映像でも撮りたい、あるいは見たいと思う人達がいるということが、すでに不思議なのである。 カンヌ国際映画祭でグランプリを取ったというが、まさに全権がある委員長をつとめたタランティーノ好み、タランティーノの好みといえば、「キルビル」で全面展開していた様式化された暴力であり、めったやたら強い肉体のヒーローであり、復讐というテーマであり、まさにこの映画もタランティーノの好みで、彼が委員長だったための受賞と思える。
 しかし、それはそれで悪いこととは思わない。 たんに作品の好みが違うだけのことなのだ。
 万人が誉めそやす映画など、どこかいかがわしいのだから・・・
 オフの評価点 30点