「春夏秋冬そして春」 キム・キドク監督

 昨夜は自宅がある地区の常会で今月は当番に当っているので出席。 一人暮らしになってからは毎月の地区の常会はサボることが多くなってしまっている。 当番といっても今の時期なら公民館へ少し早めに行ってストーブの火を点けたたり、お湯を沸かしておいて出席者にお茶を出すぐらいの仕事だ。 ただし昨夜は常会の後、引き続き忘年会があったので、ゴチャゴチャと仕事があった上に、いつまでも帰らないノンベイ三人に付き合うはめになった。 どこでもいつでもノンベイの話は変らない、今の政治が悪いなどという話、女の話、どこの誰それが威張っているとかとか・・・ツマミもなしに酒ばかり飲んでいたので後で頭が痛くなった。

 韓国のキム・キドク監督作品「春夏秋冬そして春」を観る。
 観にいった映画館が三宮のメジャー系の映画館だつたせいもあるのか、韓流ブームのせいもあるのか、中高年の御婦人連れのお客が多かった。 これに先行するキドク監督の両作品「魚と寝る女」 「悪い男」を観てないので少し期待しすぎていたのかもしれない・・・
 人の犯す業がその人となりを作り、人となりの業から生まれた欲望から執着が生まれ、その執着の果てに憎しみや怒りが生まれ、最後はそれに縛られて思わぬ罪を犯してしまう・・・仏教説話的な因果譚をベースにした作品である。 この作品はあらすじを語っても良いだろう。

 春−ー深い山あいの湖に浮かぶ寺に、老僧と幼い見習い小僧が暮らしている。 幼な子はいたずら心から、小さな動物の命を殺めてしまう…。
 夏−ー幼な子は青年になっている。 そこへ同年代の心を病んだ女が養生のためにやって来て、寺に暮らすことになる。 青年の心に欲望が芽生え、執着が生まれる。
 秋−ー女と寺を出た青年が十数年ぶりに帰ってくる。 自分を裏切ったものへの怒りの果てに・・・。 老僧は男を受け入れ、荒ぶる心を静めるように祈る。
 冬−ー湖面を一面の氷が覆う。 壮年となった男の前に、赤子を背負い顔を布で覆った女が現れる。
 そしてふたたび、春がくる…。

 全体のトーンが静かさだっただけに、裏切られた後の過剰とも思える男の怒り、恨みの表現がそこだけが異様に突出していて、そこだけが取って附けたように思えた。 が、そこは恨の国、韓国。
 あれは決してオーバーでもなく、過剰でもなく、ごくごく自然な演技だったのかもしれない。
 オフの評価点 40点