叔父さん来る

 昨日に引き続き空気が乾き爽やかな天気だが、昨日のような心地良い風はな
い。

 午前中、昨日の続きで薪を切った。一息継いでいるところに、叔父さんが訪
ねてきて、これから山の家へ行こう、昼飯の寿司も買って来たから、という。
 夕方から山へは出掛けるつもりをしていたが、もうひとガンバリすれば昨日
から切りはじめた一束目の薪を切り終わるのになぁと思ったが、あわてて夕食
の食材などを保冷器に詰めて叔父さんの車を先導しながら出発。
 途中の寺尾温泉前の骨董屋ヘ立ち寄ると、叔父さんは古い南部鉄瓶を二個も
買う。
 聞けば古い鉄瓶を集めているという。まあ、古いものを大切にするのは良い
ことと思うが、使いもしないでただ収集するのはオフの好みではない。山の家
へ行く途中にあるここの古道具屋というか骨董物屋では、お櫃とか、神棚、御
膳、畳、簾戸など古い道具を時々立ち寄っては買っているが、大体が実際に使
用しているものである。

 今日も夏日で、日差しはきつかったが山の家へ着いて窓を全部空けると、良
い風が通りぬけてしばらくじっとしていると肌寒くなって来るくらいであっ
た。
 二人で広間に寝転がりながら、叔父さんが先の戦争時に兵隊へ行った時の話
などを聞く。 18歳で志願して航空隊に行っていたのは知っていたが、今回初
めて聞いたが実は最後は特攻隊員で8月13日に特攻機で沖縄ヘ飛ぶ予定が、台
風の接近で17日に延期になり、15日に日本がポツダム宣言を受け入れて敗戦と
なり、生き残った事を知る。
 それら一連の事を当時は是々非々な気持で、一連の流れで受け入れていた
が、命拾いしたと思った時には正直ホッとしたと話した。
 戦後は鹿児島の知覧から熊本の兵舎に帰り、そこでそのまま米軍の捕虜と
なったが、一ヶ月ほどで放免になり、石鹸と非常食のキャラメルを貰って帰っ
て来たという事だ。
 そんな話や、オフの親父のしでかした二度の不始末の後始末をした話など、
夕方まで何やかやと聞かされた。