やわらかな遺伝子

予想最高気温が29度となっていたが、すでに午前中から暑かった。
 それでも昨日に引き続き薪を切り、午前中で一束分を切り終わる。
 昨冬は神戸へ行ったりしていて薪がかなり余ったので、これでこの冬の必要
な半分は確保したことになる。 最後の材木の束の下から越冬したのだろう
か、かなり大型のヒラタクワガタが這い出してきた。

 明日神戸から陽子さんが来る。知り合ってから半年過ぎてやっと一日だけだ
が、我が住いをたずねる事が実現した。一泊した明後日には二人で神戸へ向か
い、オフは今月も10日間ほど神戸市須磨に滞在する事になる。
 電話の話では須磨の駅の海岸ではもう海の家が立ち始めているという事だっ
た。
 しかし、来週の初めからは梅雨前線が列島付近に停滞して、どうやら梅雨入
りとなる感じだ。 今年は桜の開花も早かったし、季節のめぐりが早め早めに
に推移しているのだろう。 午後からは風が出てきて気温は高いが少し過ごし
やすくなる。

 午後からは母親に頼まれてすっかり忘れていた、流し台下の台を作る。
 この流し台を据える時、床から80センチにするか85センチにするか迷った。
昔は大体80センチだったが、最近は日本女性の身長も伸びたので、85センチが
主流になって来ているらしい。しかし母親の身長はせいぜい150センチほどな
ので85センチの流し台は明かに高い。 母親に合わせて80センチにすると背の
高い人がこの先この台所に立つと低い。 そこで後で流し台を嵩上げするのは
たいへんだし背の低い人が使う場合は下の台をすればなんとかなるという事で
85センチにして、そのうち台を作ってあげるょ、と言いながら随分日が経って
しまっていた。

 最近は精神分裂病のことを統合失調症と呼ぶ事になった。どうも精神分裂病
という呼び名は直訳して名付けたみたいで、世界的に呼称が変わったという事
らしい。
 現在人の遺伝子が解読されつつあるが、その原因を世界中の学者が究明し様
としている。その事が今読んでいるマッド・リドレ−著『やわらかな遺伝子』
の中で<狂気と原因>という章を設けて取り上げている。ナチスによる優性遺
伝学が批判された後、遺伝か環境かとの論がこの問題でも何度も繰り返されて
今日まで来ている。 まず精神分析治療が盛んなアメリカでは戦後すぐその原
因を<冷蔵庫のような母親>の育てかたの因があるしてその説が20年も主流を
占めた。続いて唱えられたのは遺伝子説である。これはデータ−に基づいて登
場した。従弟に統合失調症がいれば1〜2%、叔父,叔母なら6%、兄弟なら9%両
親共なら40%などと…そな後唱えられたのは、シナプス説である。神経伝達物
質であるド‐パミンが脳内のニューロン同士を化学的に繋ぐその電気信号の受
け渡しが上手く行かないという生化学現象から説明である。
 さらにウイルス説というのも出てくるたしかに遺伝の占める割合はあるがそ
れ以外の場合の説明は出来ていない。 まずこの説を唱えた人は、統合失調症
の患者は冬に生まれた人のほうが夏に生まれた人より多い事に注目した。そし
てインフルエンザに因を求め、妊娠六ヶ月目のの女性がインフルエンザに罹っ
た胎児が(ちょうどその時期に胎児の脳が作られる時期に当っている)青年期を
迎えて発病する。
 また難産などで胎児が仮死状態をで生まれる場合なども脳に酸素が行かなく
て…のもある。それに脳内のリーリン蛋白質の不足でシナプスに欠陥が現れる
という発達説。
 最近は食事説というのもある。これはアラキドン酸という必須脂肪酸の欠如
に因を見る。この説も面白い。第一に統合失調症の人は関節炎にならない。第
二に痛みに対して鈍感である。第三に熱がある時は一次的に症状が改善する。
第四に高コレステロールの治療薬ナイアシンの副作用で普通の人は皮膚が赤く
なるが、統合失調症の人はならない。皮膚の紅潮、関節炎、痛みの反応はアラ
キドン酸という脂肪分子が細胞膜から放出されて起きるし、熱が出た時もそう
である。
 このような諸説があるが、最初の冷たい母親説を除いて、それぞれがいくら
か関わっている事は分っているが、その原因はつかめていないのが現状であ
る。