年金制度について その1

 今日朝起きて梅雨明けしたんだなぁ、と実感した。 さすがに夏本番、暑い。
 でも湿度が下がってじっとりした感じはなくなった。 明日の予想最高気温は35度となっている。
 夕方、外でダンボールや縄クズなどを燃やしたが、風はなかったが煙が静かに谷を下って下がって行った。空気は夕方の時間には低い谷に向かって流れていることを知る。

 現在年金制度は大幅な赤字がつづいている。(*1)
 これまであまりにも安易に給付額を上げて、保険料を安く抑えすぎてきたのである。そこへ持ってきて、バブルの崩壊、つづくデフレで年金資金の運用の失敗、破綻の付けが回ってきた訳である。その外にも予想外の少子高齢化社会の早い到達や、医療技術の発達で平均寿命が上がってきた事などもあるだろう。 この先年金制度を維持していくためには当たり前のことであるが何らかの形で年金保険料の収入の総額を増やし、給付の総額を減らすしか方途はないのである。
 それを政府与党は現行の保険システムの改造を見送り、時間をかけての漸次の保険料の値上げと、給付料のこれまた漸次の引き下げの法案を通してで乗り切ろうとしたのである。
 それに民主党を初めとする野党は牛歩戦術などという実りのない方法で反対したのである。
 しかし、どうあろうと収入の増加か、給付の減額、あるいはその両方がなければ保険制度は近い将来破綻してしまうのは事実である。
  しかし今時代は高度成長は終わり、低成長時代に突入している。これまでのように国民がほとんど何らかの定職に付くという前提で、中流階層の膨張を誘導するような政策は取れなくなってきている。
 現に正式な職業に就くことがないフリーターと呼ばれる若者はすでに200万人を超えているといわれている。 そのような状況の進行をかかえながら現行の保険制度を維持し、保険料の増額と給付額の減額でこの先数十年をやり過ごせば、さらなる国民の年金保険離れが進行するだろうし、就業するにしろ、しないにしろ、若者を中心にこの先不公平感と不満が蔓延することは間違いない。

 現在働く意欲がありながら職がなく、保険料を払い込みたくても払えない層が増えているわけである。 これは日本における戦後の高度成長が頓挫し、低成長時代に入り、さらに社会主義国の崩壊などで後発の国々が資本主義市場に参入し、それらの国は安い労働力を売りにして安い製品を製造し始めたのである。 それは労働コストが高い日本で製造をしていても儲からないと企業が生産拠点を海外にシフトした結果である。
 それを乗り切るには、国民皆中流を目指す政官民の談合的社会から、規制緩和を進めることで競争原理を取り入れて、競争の結果、勝ち組と負け組みを作り、勝ち組にはより美味しいご褒美を上げることでやる気を出させ、社会の発展を図るというアメリカングローバル化の考えを取り入れて構造改革の名のもとに社会を組み立てなおそうとしているからである。 

 現在の年金制度は個人が現役時代にその給与の額に見合う形の一定金額を社会保険庁へ預け、それを現役から退いた後に年金として受け取る形である。 当然のことながら現役時代に多くの年金保険料を払い込んだ人は、それに見合った高額の保険料を受け取れることになっている。
  現行の年金制度は、働ける年令で保険料金を納め、老齢化して働けなくなった時にそれを受け取るいわば保険制度なのである。それはそれでまことに公正なことである。
 高度成長が続き、国民皆中流の時代はたしかにそれでも良かったが、敗者、勝者の色分けがはっきり着く、これからの時代も果たしてそれで良いのだろうか? (つづく)
 


*1  ≪22日厚生労働省は、同省所管の特殊法人「年金資金運用基金」の03年度の公的年金積立金(約147兆円)の運用結果を社会保障審議会年金資金運用分科会に報告した。国内外の株価が上昇する中、市場運用で4兆7225億円の収益を上げ、基金全体の収益は4兆4306億円となった。前身の旧年金福祉事業団時代から通した累積損失は02年度の6兆717億円から大幅に改善したが、まだ1兆6411億円の累積損が残されている。(毎日新聞)≫
 タイミング良くこのような発表があり、うれしいことに赤字額が大幅に縮小した。たとえこの先株価の上昇で黒字に転換することがあっても、この先経済的な変動でいつまた大幅な赤字に転落するか分らないのが現実であることを踏まえて、たとえ黒字になったとしてもこれからはそれをなんらかの形で一定額プールする必要があるだろう考える。