夜の散歩

 台風の影響か朝から薄曇。 それでも気温は30度は超えて少し蒸し暑い。
 終日山の家でぼんやりして過ごす。 お昼頃玄関の方でマロ君が妙な鼻声で鳴いているので、そっと覗いてみると寝転がって目を閉じたまま唸っている。 アレレ犬にも意識と無意識はあって夢を見るのかと思うとなんだか可笑しくなる。 昨日の夕方に多分お腹の辺りをアブに刺されたみたいで、クウクウいって痒そうにしていたが、夢の中で刺したアブに向かって吠えていたのだろうか・・・
 終日マロ君は玄関で寝そべっている。 本当ならこんな山の中だし、首輪に繋いだ鎖をはずしてやりたいのが山々なのだが、子犬の頃から鎖を繋いで飼っているので、外すとどこかへ行って帰って来なくなる。 このクソ暑い今はオフもどこへ行くこともなく、そんなマロ君と同じ状態なのであるが、似たもの同士夜になれば一緒に散歩に出る。 夜といえど最近は暑いので、散歩といってもせいぜい三十分弱であるが、それでも風があって涼しい夜などは少し足を伸ばし小一時間ほど回ってくる。 それだけ歩けば富山平野の夜景が見える場所まで行ける。 そこの場所は天気の良い昼間ならば、遠くに日本海も見渡せる眺望のある場所である。 今夜は十日ほどの月夜であって、夜でも道が白くなって見えるほど明るかった。 道端のススキはまだ穂を出していないが、葛の花もぽちぽち咲き出したし、萩やススキが風に揺れるのももうすぐのことである。 山道の散歩の途中グウオゥ、グウオゥとウシガエルが池の中で鳴いている。 こちらもまねして鳴くと、一瞬鳴声は止むのだが、すぐに単調な鳴声を出している。