『ぼくは悪者になりたい』

 今日は生協の品が届く日で、自宅近くの農家へ注文した品を取りに行くと、そこの近所のおばあさんが、暑い暑い、こんな暑い年は生まれて初めてだと言う。 それは少し大げさではないかと思うが、たしかにまだ7月である、これからお盆までの間このような蒸し暑い日々が続くと思えばうんざりする。
 今、マロ君と夜の散歩を済ましたところだが、額の横を汗が少し流れている。 十五夜前の大きな月が出ていたが、その月明かりで白くなっている箇所さえ暑く思えたりする。
 
 『ぼくは悪者になりたい』 笹生(さそう)陽子著
 作者はこれまで児童文学をおもに書いていた人らしい。 まあこの作品も主人公は高校生だし中高生向きの作品といえる。

 母親は未婚で父親違いの子供を2人産んでいるシングルマザー、つまり奔放な女性で、職業は輸入雑貨のバイヤーをしていて長期の海外出張も度々。長男である主人公は家事全般をこなし小学生の弟の面倒みている。なんというか気が小さく正直で要領は悪い。
 母親の出張に行った直後、弟が高熱を出し、急遽母親のアドレス帳からひらい出した素性の分らない男に助けを求めることからいろいろ問題が起こる。
 まわりのワルに上手いように利用され、遊ばれる不器用な自分に嫌気がさして表題の言葉を叫ぶのだが…青春の作品らしい爽やかさが地味に表現されているところが良かったかな。