『天使はポケットに何も持っていない』

 土方作業の後遺症がさらに、さらにひどくなる。股関節から太ももの筋肉までにかけて、あ痛たぁ〜たたぁ状態。

 佐藤多佳子の『神様がくれた指』を読んでいたが、ぜんぜん面白くない。ストーリィだけで書いているので、それだけがどんどん流れていく・・・とうとう途中で読むのを断念。 『黄色い目の魚』では青春の男女の微妙な心の動きをあれだけ繊細に捉えて描いていたというのに・・・他分野から入ってくる女性作家は、時にはキラリとした作品を生み出すが、後がどうも続かないようだ、山本文緒唯川恵とか・・・

 ダン・ファンテ作『天使はポケットに何も持っていない』を読む。

 ダン・ファンテはヒューバート・セルビィ・Jrの『ブルックリン最終出口』やブコウスキーの一連の作品、父親ジョン・ファンテの作品をこよな敬愛するアメリカの詩人、作家。
 ニューヨークでヒッピー生活の後、ロスで会社経営を成功さすが、その後、飲んだくれで、アル中、ドラッグ中毒、自殺未遂を繰り返したという・・・ 

 ≪あんたはさもしくて利口ぶったただのゲス野郎よ、ブルーノ。 すぐに怒る、飲んだくれのく、くそったれで・・・じ、じ、自分はみんなよりもず、ずっと賢いと思っている。 あ、あ、あんたのひどい仕打ちを、あ、あと一日でも受けるぐらいなら、カ、カ、カルロスと一発やってヘルペス持ちになって、スーパーマーケットのカ、カ、カートを押しながら、ビ、ビ、ビールのアルミを拾って回って、ハリウッド・ブールヴァードのみ、み、道の上で、ね、ね、眠るほうがずっとましよ。 あんたのことなんか、も、も、もう愛してないし、それどころかあ、あんたはめ、め、めちゃくちゃむかつくわ。  

 くそくらえ、この腐れちんぽこ野郎!  
 あんたのし、し、死人みたいな、ぶ、ぶ、無愛想な、か、か、家族のみんなもくそくらえだ!あんたにゃ800ドルの貸しだよ。 一日200で四日間分、払いな!  
 
 四日間もやりまくったじゃないか!一日! 
 二日!  三日! 四日! しめて800ドル! 

 知ったこっやないわよ! 
 あんたが悪いのよ!あ、あんたは親父さんに愛されていたのに、そ、その愛し方が気に入らないって、親父さんまで、や、やっつけてしまったのよ! 

 怒り虫のくそったれ!冷酷野郎! 
 あのく、くそ犬の、せ、せ、世話すらできないじゃないか!≫

 15歳のドモリの(訥弁の)売春婦がキレテ突然叫ぶ、主人公ブルーノがいわばダン本人の自己像で、この自己像がどう生きたのか、がこの作品の全容である、そんな自伝作品。

 そういえば、先日友人と一緒に入った怪しい<世界一安い!激安ビデオ店>にAVビデオの山に混じって、隅っこに中古だが「ブルックリン最終出口」とか「ストレンジャー・ザン・パラダイス」が380円で売っていたなぁ、こんど買いに行ってこよう・・・っと。