キムチ

 なんだか天気が安定しない。 もともと9月は雨の多い月であるが、それまで上空を覆っていた太平洋高気圧が弱まり、大陸の高気圧が日本海にまで下がってきて日本付近で前線が停滞する。 それがいわゆる秋雨前線である。 当初そのまま西へ進むと見られていた台風21号は沖縄近辺で停滞し、どうやら東に進路をおもむろに変えそうである。 明日が中秋の名月だが、どうやら満月は雲の上ということになりそうだ。 数年前から八尾の町では、たぶん地元の人がおわらを楽しめないという不満がでていて、月見おわらという行事が行われている。 この日には観光客が来て欲しくないというので、その日時は秘密であり、直前に町のあちこちに月見おわらの案内が張り出されて始めてその日時を知ることになる。 粋な企画である。

 昨日はこの秋最初の鍋、キムチ鍋をしたが、キムチ味というのは本当に美味しいと思う。
 美味しいキムチは辛さと、塩味、酸っぱさのバランスにあり、これがなんとも複雑で素晴らしい味である。 キムチの元に使われている材料を見ると、酸味に食酢とか、かんきつ類や林檎などを補っている場合が多いが、本来なら白菜が醗酵してそこから出る自然なすっぱさ、そして同時に白菜のほんの微かな甘さが全体の味をマイルドにすると思うが、料理には何を使おうと、それが正しいとか間違いだなどはない。
 オフはイカの塩辛が大好きで、これからの季節新鮮なイカを買っては自宅で塩辛を造っているが、最近はイカのウロに含まれているコレステロールが少し心配で、塩辛造りはやや控えている。 その代わりにイカを刺身にしてそれを冷蔵庫内でむき出しにしておいてやや乾かし、キムチの素に絡ませて二、三日置いて食べている。 新米の炊き立てのご飯にこれを乗せて食う時などは、やや大げさかもしれないが、ああ、幸せとはこのことだ!と思ってしまうほど美味しい。