マンガと実写

 ビデオで北野武監督の「座頭市」を見る。 たしかベネチア映画祭で監督賞を貰った作品である。
 前に同じ北野監督の「花火」を見たときも、こっちは同じベネチア映画祭で金獅子賞だったと思うが、それなりの期待して見たんだが・・・たしかに悪い映画ではないと思ったが、期待が大きかっただけに軽く肩透かしを食ったような感じがした。 そんな訳で今回はハナからあまり期待しないで見た。 まあ、おかげでその分ガッカリしなかったというか、そんな程度の作品だったなぁ。
 オフにはこのようなマンガの劇画的な手法をとった映画は今ひとつ乗れない。 ドバ〜ドバ〜と血や切られた手足が飛びかう場面、マンガでそんな場面を見ている分にはどうと言うことないのだが、それを実写でやられるとどうもイマイチいただけない。 少し前に見たタランティーノの「キル・ビル1」でもその感じがぬぐえなかった。 たとえば劇画で拳銃を上から突きつけられてその引き金が引れる。 それを撃たれる側が下から、スローモウションを見るように飛び出してくる弾丸を見ながら最後を迎える、そんな場面などがマンガでよく書かれている。 こんな場面が「キル・ビル」の中で取り入れられていた。 弾丸が一瞬銃口から飛び出しそれが止って見えて、そのあと自分の身体から血を吹くのだが・・・マンガで見ているときはほとんど違和感はなかったが、実写でそれを見たときはどこかシラケテしまったのだが・・・北野の座頭市の切られる手足が飛び交ったり、血が吹き出る場面なども、現実にそれをやられると、なんかリアルすぎて食えないナァという感じがするのは自分だけなのだろうか・・・。
 ただ、漫画的な一瞬挟まるドジなギャグ、これはテンポが早ければまあそれは許せるかな、というところだが・・・しかしそれは脇役のガタルカナルタカあたりが連発していたが・・・しかしマンガではもっと過激に、二枚目の主人公や相手方の悪役が突然真面目にドジを踏んでしまうギャグをカマしたりする場面があるが、実写でそれをやると、それはヤリ過ぎになるのだろうか・・・? オースチン・パワーの映画がそれで、モテ役のオースチンや悪役のドクターがときどきおバカさんをやってドジギャグをかましていたが、これもイマイチで、どこかミエミエに臭い演技にしか見えなくて、まったく笑えるまでは至っていなかったんだが・・・最後に座頭市が石にけつまずく場面も同じくオフには笑えなかったんだが・・・これは見る人それぞれの受け取り方次第なんだろうが・・・