「第三の男」

昨日は十月に入って久しぶりに朝のまばゆい太陽が部屋の奥まで指し込んだが、今日はもう曇り空。 自宅へ行き材木屋が持ち込んだ薪切りを始める。 しかし午後からは小雨が振り出し半分やったところで中止。 金木犀の匂いがどこからとなく匂う時期になっている。 この時期になると決まって、昔小学生の子供達が通り過ぎていったが、その中の一人の女の子が、あっ、トイレの匂いがする!と叫んだことが思い出される。
 
 ビデオで「第三の男」を見る。 たしか第二次大戦後に作られたこの有名な映画を、五十年以上も経った今になってようやく見た。 見ていてもミステリー映画の原型をなしたような映画で、当時としては出色の作品だったことはよく分る。 まあ、昔いちど見ていれば、その時の印象がベースにあるので時間を経ても古びないというような常套句を使いたくなるだろうが、正直なところそこまで感じるものはなかった。 夜の場面が多かったが、白黒の陰影を最大限に生かして、人々の不安や恐怖を上手く演出していたのがなかなか良かったかなぁ。 ただ最後の場面は男の美学といわれた「カサブランカ」などと並んで尾を引くような印象深い終りだったが、こちらは女の意地?とでも言えばよいのかな。 それにしても男の美学とか、意地とかいう言葉は今ではどちらかといえば嘲笑の対象みたいで、ほぼ死語に近くなっているような気がするなぁ。