山の家へ帰る

 半袖のシャツの上に着たコットンのジャケットが暑くもなく寒くもなくちょうど良い、今日神戸は爽やかな秋真っ盛りで吹く風が心地よい。 大阪を出た特急サンダーバード敦賀を過ぎたあたりから雨が降りはじめ、刈り入れの終わった北陸は雨だった。 
 山の家に来る途中柿の木の横を通ったが、木の枝が何本も折れて根元に落ちている。 少し前に熊が来ていた跡なんだろうが、そんな情景を見ると気持ちが複雑で気が重くなる。 熊も命の危険を冒してまでして、こんな人が住む山里へ来たくはないのだろうが、今年は山奥の食べ物がないので山里をうろつく羽目になっている。 人を襲って射殺される熊や、この冬を空腹で越せない熊などでその生息数が大幅に少なくなることが予想される。
 たどり着いた山の家は朝晩はもう寒く、火が恋しい季節になっていた。