「モンスター」

 二、三日晴れた日が続いたので、薪切りをした。 今年は台風がらみで雨の日が多いので材木は乾く暇なく濡れていて、二、三日晴れたぐらいでは乾ききらない。 いつの間にか乾き切るまでなどとのんきなことを言っておれないような時期になってしまった。 三分の二を残すぐらいでもう今日午後から雨が降り出した。 今回も台風がらみでしばらく激しく降りそうである。

 先日シャーリーズ・セロンが主役をしている映画「モンスター」を見る。
 体重を13キロも増やしてタプタプした身体とそばかすだらけの顔、蓮っ葉なセリフでこの役に臨んで、アカデミーの主演女優賞を貰った主演のセロン。 ええっ!これがあの「サイダーハウス・ルール」に出ていたあの可愛い女?と叫びたくなる。 
 実際にあったこの物語のモデルのアイリーン・ウォーノスの写真を以下のサイトで見れるが、
 http://profiler.hp.infoseek.co.jp/aileen.htm
 うわっ〜似ている、似ている、であるが、その後の彼女の経歴を読むだけでもう後の言葉がでなくなってしまう。

 その恋人役のクリスティーナ・リッチも主役のセロンに一歩も引けの取らない、ふてくされた少女からすべてを知りながら小ズルイおねだり女に育っていく憎い女を演じてみせていた。 オフはこのクリスティーナ・リッチが、その小動物的でアニメチックな年令不肖な顔が好きである。 最近では「私は<うつ依存症>の女」とか「耳に残るは君の歌声」に出ていたが、作品を見れば見るほどジワリジワリと好きになる女優である。

 さて「モンスター」だが、街娼に若い恋人が出来、そのことから彼女は連続殺人を犯していったというアメリカで実際にあった話にもとづいて作られている。
 主人公はヒッチハイカーのふりをして道端で車を止めて、金が必要だというチープな作り話を男達に持ちかけて売春をしている。 夜の道で手を上げる女、それが何を意味しているのか先刻承知で車を止め、結局は侮蔑している女であるがその場はとにかく女とやりたいだけの男たち。またその金で今日の生活の糧と飲み代を稼いでいる女、そこにあるのはセックスを介してまさに欲望と金の遣り取りだけであり、見ているだけで寒々としてくる情景である。
 年下の恋人が出来るが、その愛し方というのは何というのかまるで幼稚な子供が子供を駄々をこねながら愛するようなものであるのがなんとも悲しい・・・すべて愛する恋人のために、と思えば思うほど現実との裂け目は広がり、さらに転落していく、生まれながら背負った宿命のようなものを、絞首刑にに向かってただ走るように生きた人生とでも言おうか、まさに救いの一つもなく、言葉も出てこない。 評価点に迷う、二人の迫真の演技力を取れば満点に近いのだが・・・演技力だけでは映画は評価できない。 迷いながら65点。