山のギャラリー

後少し残っている薪を切りに自宅へ戻ったが、一時間もしないうちにパラパラ雨が降ってきて中止。
 もう十月も終りだが、それにしても晴れた日の少ない十月だった。 本来十月は移動性高気圧に覆われて秋晴れの日が続く爽やか月だというのに、台風が来て前線を押し上げて雨続きだった。
 寝転がって本を読んでいる内に雨は小降りでいったん上がった。 生ゴミを捨てに行ったついでに柿木を見てみる。 今年は柿の実は裏年で数個しか実がついていなかったが、それらもカラスやヒヨドリに半分は啄ばまれていた。 その横にあるイチョウの木の下にはギンナンがたくさん落ちていた。 まだ葉は青く紅葉していないというのに、先の台風で早々と落ちたようだ。 草刈機を持ち出して下草を刈って、ギンナン拾いをする。
 午後からは山のギャラリーへ立ち寄り、案内が来ていたが先週から展覧会をしているEさんの版画と焼絞めの壺を見にいく。 Eさんは能登の輪島の山の中に住んで版画を掘り、高温で焼絞める陶器を造っている。 横浜から能登へ来たのが彼の長男の一歳の頃で、その息子が今年大学に入ったというからもう17年がたっていることになる。 彼とはオフが十年ほど前にふらりと尋ねて以来の付き合いで、逢うのは一昨年、山のギャラリーで個展をしたとき以来である。 ここ二年の間、彼は版画、壺ともに彼としてはまあまあの数の作品を仕上げている。 二年前には新しい作品はほとんどなかったことを思えば、創作意欲が乗ってきているのであろう。 版画の場合最初の頃は気負った羅漢さんシリーズや般若心経などを彫ったりしていた時期もあるが、最近は身近な野菜や草花、昆虫、小動物などがオーケストラのようにゴチャゴチャ画面いっぱいに広がる作品になってきている。