平成の大合併、(その1)

 山の家の前のカエデの木が真っ赤に紅葉している。
 午後から自宅へ行き薪を切る。 まだ乾かず濡れているいるのだが、もうどうでも良い、一気に切って終りにした。  ずっと薪を切っていたので、腰の痛みはかなりキツくもう限界である。
 脚立を持ち出して、木に成っていたギンナンを全部収穫する。 たしか銀杏の木というのはかなり古い時代からあって、地上に恐竜が跋扈していた頃よりさらに古いはずである。 その後の地上が氷と雪に覆われたりする悪環境の中でもしぶとく生き延びてきている木である。 最近では銀杏葉エキスが血液をサラサラにすると言われ、サプリメントとしてとくにヨーロッパなどでは人気があるみたいだ。  
 ギンナンを採った後一休みして芝刈りをする。 今年は春からマメに芝刈りをしていたのだが、9,10月と手抜きしてしまい、雨が多かったせいもあったが杉苔が蔓延ってしまった。 その上モグラが来て横穴を掘っていったりしてせっかくの芝庭は散々である。
 
 昨日11月1日をもってオフの住む町を含めて8町村が合併して南砺市という新しい市が誕生した。
 政府が全国の市町村に合併を促してきた「平成の大合併」の一つがわが町でも実施されたわけであり、今回が県内で初めての合併となった。
 南砺市は、城端、福光、福野、井波の四町と、平、上平、利賀、井口の四村の計八町村で設立。 「自然、文化、交流が織りなす創造とやすらぎの南砺市」とうたい、人口は六万人弱。
 今回の合併の狙いは行政の合理化とスリム化ということになるだろう。 平たく言えば合併という大義名分のもとで肥大化した役所の職員のリストラすることである。
 具体的には新しい市の市会議員を定数34とし、現在の8町村議会の合計定数91から比べれば、一気に57人が減ることになる。 また、議員と同様に8町村の首長、助役、収入役、教育長の特別職も新市では各1人の4人となり、28人減ることになる。 現在の職員のリストラはないが、退職者の補充を3分の1に抑えることで10年間で200人の職員削減を目指し、人件費を10年間で15億円減らすことを掲げている。 こう見てくるととりあえず合併のメリット議員や特別職が少なくなることだけであるようだ。
 これらの議員らの削減で年間約5億円が浮くわけだが、新市はこの5億円を原資に各町村でばらばらの固定資産税や国民健康保険税上下水道料金や保育料の統一をはかるという。
 ●固定資産税は8町村で一番税率が低い井波町の税率に統一。
 ●国保税は上平村を除く7町村で現行より安くなり、上平村には経過措置を設ける。
 ●上下水道料金は一部の町村で今より安くなる。
 これらの統一に伴う収入減は、浮かした人件費5億円でまかなうという。
 すでに8町村ではごみ処理や消防などで広域行政が進んでおり、三つの公立病院のほか、各地に立派な文化会館やホールや体育館もある。 「結局合併による住民のメリットを探したが目に見えるものがなく、考えられるのは行革(議員、特別職の人員減)で浮いたお金を住民に返すことだった」と大家合併事務局長は説明している。
 さて、国、地方ともに危機的な財政状況であるが、効率的な行政運営を理由に合併を求める政府は、地方交付税の削減を含めた「三位一体改革」も進めているが、合併協会長である清都邦夫・井波町長は「三位一体改革がなければ自発的な合併の動きはなかったと思う」と言う。
 8町村では交付税が歳入に占める割合は27〜45%(02年度)とかなり高い。 新市の財政計画では05年度の予算規模は362億5600万円だが、14年度には311億1200万円にまで縮小。交付税と国庫支出金で合計約24億円の減少を見込んでいる。  合併自治体への優遇措置として返済額の70%を国が負担する「合併特例債」も新市は約320億円まで活用が可能だったが、約260億円にとどめる。 当然のことながら特例債といっても借金は借金である。少なくとも100億円はかかる新庁舎建設も見送った自慢しているが、この財政状況ではこれはいわば当然である。
 それでも約450億円(普通会計ベース)ある8町村の債務残高は情けないことに10年後も少しも減らなくて、現状のままだという。