食品添加物で作った除草剤

 夜中にトイレに起きた時、あれれもう夜明けかなと寝ぼけた頭で思ったが、どうやら昨夜は満月だった。 春の満月も捨てがたい。 
 昨年雪が降る前に収穫した大豆を莢から出さず、土間に引いたビニールシートの上に積んだままそのままにしていた。  冬の間ずっと気になっていたのだが、山の家に戻って今日ようやく莢から出す作業を始めた。 天気が良かったので外でビニールシートを引いて硬いものとして代用した裏返した一輪車に叩きつけて莢から豆を弾け出さしていたが、豆がシートの外へ飛び散るので中止。
 土間に昔米櫃に使っていただろう大きなブリキの四角い入れ物があったので、その中へ厚板を立ててそこへ莢を当てて豆を出すようにした。 これだとあまり飛び散らない。
 山の家の昔の家主さんが山菜取りのついでに立ち寄って、それを見て笑っていた。 昔はシートを張って豆の莢の山の上から大きな杵で叩いて豆を出したものらしい。
 豆は土間に山と積んだままになっていたので、下のほうのものは白くカビてかなりダメになっていた。
 作業は一時間半ほどして嫌になり、マロクンと散歩に出かける。
 山の道には米粒ほどの杉の実というのだろうか、例年の数倍落ちている。 花粉を飛ばした後地上に落下したものである。 山々では木々の芽吹きが始まっていて木漏れ日の下を歩くだけで心が洗われるようなすがすがしさを覚える。 山道の途中の峠に、大きな桜の木がある。 幹まわりは直径は1メートル以上あるだろう。 山桜だが今がようやく満開を少し過ぎたところである。


 お昼を食べた後、生協の日用品のカタログに、暮らしの地球グッズ特集というのがあり、その中に食品添加物だけで作った除草剤というのがあった。 おそらく農薬などが主成分ではなく、人が食べて大丈夫とされる食品添加物に使われている物質だけで作られた除草剤だから、安心して使える商品である、ということがウリなのだろうと思う。
 しかし、逆から考えてみると、植物を根こそぎ枯らしてしまうようなものが食品添加物として許可され、使われているということではないだろうか? ウン? うん。
 その宣伝書きには、<気になるところに散布すれば、およそ2日間で効果が現れます。根元部分に働きかけるので効き目も早く、土壌を弱酸性に保つので再び雑草が生えにくくなります>とある。
 気になる所の例として、駐車場に、墓地に、道路に、と大きく書いてあり、わざわざ、散布時と、約二日後と、さらに・・・ご丁寧に三枚の写真が乗せてある。 それを見ると、ウァワ〜ッ枯れてきた!完全に枯れている!である。


 これって、効果がすごければすごいほど、ゾッとする宣伝だなぁ・・・
 親切にどこか隅っこに、<この商品は食品ではありませんが、誤って食べても食品添加物だけで作られていますので身体の害にはなりません。ただし、健康のため食べすぎには注意しましょう> などと書いてあるのだろうか。