バーべキュウ

  お天気が続く。マロ君を連れて向かいの山まで出かけた。
 向かいの山は家の正面、つまり東側にみえている。 山といっても手前に谷があってその向こう側になるのだが、特別高く尖がっているような山ではない。 距離は往復して1時間半強ほどかかるが、いったん西側へ道沿いに歩いていって、そこから谷へ下る道があり、下った後向こう側の田んぼ沿いの道をだらだら登って行くとそこが向こうの山である。 当たり前のことだがそこからは山の家が真正面に見える。 ただそれを見てまた引き返したわけだが、道沿いにはやや呆けたゼンマイがけっこう出ている。 もうしばらくするとワラビも出てくるだろう。 

 午後から友人三人が集まって来て、みんなでスーパーへ買出しに出かけ、肉や魚類を買ってきてベランダでバーベキュウをした。 四人でビール何本かと酒と焼酎を一本づつ開けた。 最後は全員飲み潰れて、居間でごろ寝状態だった。
 スーパーに出かけた帰り、四人が通った高校の側を通った。 その高校では明治時代に建てられた木造の正面玄関の建物を保存改修のため長い間シートに隠されていたのだが、最近ようやくそのシートが外され改修された姿が見ることが出来るようになった。
 やや淡いピンク色にペンキを塗られた建物は、そこだけが異様な感じで浮き立って見え、どうみてもまわりの景観に馴染んでいるとは見えない。 創立当時の明治時代にもこのような厭らしい色に塗られていたのだろか?
 高校へ入学した年の一年間だけその建物で学んだのだが、言ってみればわれらはその校舎で学んだ最後の生徒である。  その建物を見ながら通りすぎる時、そう言えばその年の冬に寒いといって腰板を何枚か剥がしてストーブで燃やしたナァ、その時の首謀者はお前だったんだぞ、とK君が言いだした。 すっかり忘れていたが、そう言われてみるとたしかそんなこともやったなぁ、とおぼろげながら思い出す。 そのストーブの周りに集まった男子生徒を相手に女と寝た時の話をたりしていたこともある、あの時の話をドキドキしながら聞いていたんだよ、と言ったのは今は県の畜産行政のトップになった男で、以前の同窓会の場でいきなりそんな話を切り出されて驚いたこともあった。 もちろんのことだが、当時そんな経験もなかったのに口からでまかせの嘘の話をでっち上げていたのだったが・・・当時は担任の先生ととにかく相性が悪くて、ふて腐れ不良ぶっていた。  不良ぶるといっても普通課が三クラスしかない田舎の小さな高校のことである、せいぜい気にいらない授業をサボって映画を見に行ったりする程度であったのだが・・・