「ウイスキー」

 朝7時ごろ朝飯を食べているとツバメが多数押し寄せた。
 先日土間の天井で孵った雛や親たちだと思う。 まるでお礼に立ち寄ってくれているようにも思えるが、そんな馬鹿なことではなく、たぶん次の子育てのための下準備が始まったのだろうと思う。

 春頃から左肩の関節の辺りが痛い。
 ここへきてその痛みが左肩のどこということなく痛み出している。 彼女や友人達からは五十肩じゃないかといわれていたので、先日調べてみると、まさにそれにピッタリの症状である。 何気なしに腕を突然後や斜め上に上げたりするとギクリと痛むし、寝ていて左肩を下にすると痛むし、とくに朝方それがひどくなる。  腕の付け根の肩の関節の軟骨が磨り減って神経を圧迫している痛みのようだが、最近の高齢化とともに五十肩の症状が60代や70代で出ることも珍しくないらしい。 老化現象の一つでどうやら決定的な治療法はないらしい。 ソファに横になって本を読んでいたりするとなりやすい、という説明もまさに自分の場合にピッタリである。 今後本を読まないで過ごすならよいのだろうが、いまの自分から読書を取り上げる生活は考えられない。 まさに読めば読むほど、次から次と本が読みたくなる。 どうやらこちらのほうがもっと重い病気みたいだ。
 そこで寝たまま手に持たなくても本が読めるブックスタンドなるものがあることを知り、今日ネットで調べて注文した。 


 今回も神戸で映画を見た。 まず「ウイスキー」。
 カンヌ映画祭でオリジナル視点賞 国際批評家連盟賞を受賞し、東京国際映画祭 グランプリを取った映画である。
 舞台はウルグアイ。 小さな靴下工場を経営する男と、そこに古参の従業員として働く女がいる。
 ある日、男の母親の墓石建立式のためブラジルに住む弟が久しぶりに帰ってくることになった。 男は女に数日間だけ妻役をやってくれるように頼み、女はそれを受ける。 式が無事終わったとき、弟は兄夫婦に旅行しようと持ちかけ、三人はどこかのリゾートホテルへ季節外れの小旅行をすることになる。
 少し可笑しいような可笑しくないような調子で淡々と三人の物語りは進むのだが、そののろい進展に反して最後が衝撃的である。 といっても観客には何が起きたのかはわからない。 意図的に物語を断ち切っている・・・いや、起きたと思うのは間違いで、ひょっとして何も起こらなかったのかもしれないかもしれない。
 ハリウッド主流の映画になれているわれわれはどうしても決着をその映画の中に求めてしまう。 
 結論を見て安心して幸せな気分になったり、悲惨な結末に涙したり・・・して本のページを閉じるように、映画を見終わって日常へ帰っていくのが当たり前である。 
 <しあわせ>というのは決して映画が教えてくれるような見場のよいような決着でつくものではないはずであるなどとあらためて考えさせてくれたかなぁ・・・それに人間の生きてゆく時間の流れの心地よさみたいなものを映像から感じたかなぁ・・・

 評価点60点