ハエ発生

 昨日、県内で水かさの増した用水に転落して子供と大人が行方不明になった。 夜半からさらに200ミリの雨が降る予報で、大雨洪水警報がでていた。
 山の家の裏側はさほど高くはないが一応崖である。 奥の部屋で寝るのは少しサムカッタが、結局雨は降らなかった。 朝には晴れて日が差すこともあったが、まあ終日曇り空だった。
 山の家の横の川も、普段の年の梅雨時と変わりないほどの水量に戻って、ザワザワと音を立てて流れている。

 困ったことになった。 バイオトイレからハエが発生しているのだ。 昨年、一昨年と二年山の家で夏を過ごしたが、一度もハエが発生することはなかった。 しかし、それに安心して今年はマニュアルを守らなかったら、さっそく悪い答えがでた。 マニュアルというのは、うんこや小便をした後備え付けのハンドルを回して、ドラムの切り込み口を下に持っていっておくこと、そして用を足す時はまたハンドルを逆に回して上へ持ってくる。 たったそれだけのことを今年、それもつい最近になって面倒くさがってハンドルを回さず、とくに夜などはそのままにして、上蓋をおろしただけで済ましていた。 
 何年か前東海村でバケツの中で核分裂を起こして、作業員が被爆して亡くなるという事件があったが、その時、これは自分もやりそうな事件だなぁ、と思ったが、やはりそれと同じようなことを起こしてしまった。 ハエの発生程度だから良かったものの、こらが核分裂だったら間違いなく命を失っているところだったろう。
 調べてみるとハエは夏場は8日から15日程度で卵から成虫になるらしい。ということはやはり6月中のオフのなまくらのせいだ。

 ところが七夕には少し早いが今夜遅く、年に一度神戸から彼女が来る日なのである。
 まあ、これを見たら驚くだろうなぁ。 彼女が山の家へ来るのはこれで二度目だが、最初に来た時も、エエッ!これなぁに?とバイオトイレには驚いていたが、今回はさらにハエ騒動だ。
 また間が悪い時に・・・嫌なことが起きる。これは間違いなくマーフィの法則だなぁ。


 先月末の女帝議論のためにという特集で、朝日新聞としては珍しく鈴木邦男という右翼と自称する人の論が載っていた。 しかし、右翼の論理は論理になっていないが、単純で分りやすい。
 彼が言わんとしているのはこの一言である。 現在憲法改正論や女帝問題で各方面から出ているさまざまな案やどんな議論もいいが、それを陛下に押しつけるのはけしからん、最後は陛下に決めていただく、それで良いのだ、という訳だ。
 ということは天皇というのはすべての法を超えた恐れ多い存在であるか、もしくは国家元首であって全ての決定権とその責任は天皇にあるのか、と思いきや、どうやらそうでもないようである。
 北一輝の「ああ今日4千5百万の国民は殆ど挙りて乱臣賊子及びその共犯者の後裔なり」という感慨を持ち出して、われら国民すべてはまず乱臣賊子なのだと知ることだ。 われわれによって天皇を守っていると思うな、天皇が居て下さるだけで国民は守られている、だから自由に振舞ってもらうのがよいのだ、というわけである。 日本人独特の分ったような分らないような論理、理屈である。 日本人にとっては、人は死ねばどんな人も神であり仏である、というこれまた日本人以外には到底理解されそうもない論理、理屈とも相通ずるのだが・・・。

 そうではないだろう。 天皇が戦後、それまでの神から人間であると自ら宣言された時点で、われらと等しい日本国民となったわけだから、天皇を国民の統合の象徴にするにしたとしても、それに先だって天皇の人間としてのあらゆる基本的な人権は認められるべきなのである。 だとするなら自らが天皇という職を継承するしないも含めて、人間としての基本的な人権を自らの意思で自由に選択することを認めるのが論理、理屈であり、それこそが今もっとも大切なことだろう。