古民家ツアー4

 夜明け方や、夕暮れ時ヒグラシが鳴いている。 昨年ほどのシャワーが降り注ぐような大合唱ではないが・・・そういえば今年はアブをまだ見かけない。 雨の多い日が続いていたせいだろうか・・・いずれにしろ、ありがたいことである。
 この時期になるとどこからともなくカマドウマや足の長い大きな蜘蛛、多分アシダカグモというのだろうが、部屋の隅の壁などにいるのを見かけることがある。 音を立てて驚かすとその逃げ足の速いこと速いこと・・・ 温かくなって小さな昆虫たちが部屋の中などで活動しだすとそれを狙って出て来る。 夜暗い部屋ではハエなどの羽虫などは壁や天井などにとまって羽を休めている。 それらの獲物を狙って狩をするのだ。 その長い足を使ってすばやく移動して獲物を狩るのだろう。 朝起きると獲物になった何だか分らない虫の羽だけがそこらに散らばって残っていたりする。 アシダカグモはゴキブリなども狩をして食べるらしい。 いずれにしろ普通の蜘蛛と違って巣を張ってそこで獲物を待つのではなく、自分から移動して獲物を捕らえるタイプの蜘蛛である。

 さらに古民家ツアー。 その前々日見た春日町の古民家へ彼女再びと出かける。
 少し迷った福知山の大きな家は気持ちから消えてしまい、最初に見たNO,1の春日町の山すその家に気持ちが傾く。 決めるにしろその前にもっとしっかりと隅々まで見ておこうと現地を訪ねる。
 先に見た時は、そのたたずまいの良さばかりを見ていたようだが、この物件に決めようと思ってみると、今度はまるでケチを付けるようにいろいろアラが見えてくるものである。
 やはり蚊が多いのである。 雨上がりということあってか、先日以上の蚊の多さである。
 近くにある湧き水の池に、アマゴでも放せば少しは蚊の幼虫のボウフラを食べてくれるだろうが・・・
 この日はこの建物の良さである御母屋を見ずに、母屋の横に立つ付属の納屋を主に見た。
 見れば見るほど痛みようが目に付く建物である。 屋根は全面的に瓦を取除いて、葺き替えるしかない。 その場合屋根の垂木やモヤは使い物になるのか、それのよって予算や仕事が変わり気になるところである。
 不動産屋に近くの板金屋さんに簡単でいいから、屋根を葺き替える場合の概算の見積もりを取ってくれと頼む。 それと背後に四坪ほどの小さな比較的新しい建物があるが、その建物と御母屋の屋根の取り合いが悪くて雨漏りしている。 同じ向きに切妻の位置を取って建物を二つ並べているので、お互いの屋根の雨水がぶつかるが、それをその真ん中に樋を付けて横に流している。 お互いに軒がぶつかり合う構造だから、二つの建物をつなげて使うには、床を張った場合天井が低くなりすぎるというなんとも不合理な構造である。 
 この家を建てた当時の家主は建物についていろいろ考えた人だったと思われるが、後で裏に小屋を立てた人は知恵の浅い人だったと思われる、それを受けて仕事をした大工も大工だろうが・・・
 この日再び建物を見る前は、少々の手金を打っても良いぐらいに思えていたが、見れば見るほど悪女のように後々におかしなお金がかかりそうな予感がする。

 気持ちが萎えてしまいそうである。 帰りにからかい半分で神戸市北区の有馬温泉の付近の坪3万円強という驚くほどお安い物件を見る。 どうあろうと神戸市内で宅地が坪3万円というのは考えられない数字だ。 予想していたが写真の背後にちらりと見えた古民家があった。 この日は不動産屋の案内を請わなかったので家の中は見れなかったが、今の状態ならこの古民家は屋根からの雨漏りはなくは何とか直して直らないことはないかなぁと思えた。  ただしこの物件がメチャ安いのには訳がある。 そこの家の地内へ入る進入路が1メートルほどで、車が通れないのである。 たとえ古民家を壊すにも、トラックや重機が敷地内へ入らないので仕事やスクラップの運び出しも全部人力に頼るしかないため、放りつけてあるのだろう。 それに背後の崖の竹薮の山林が含まれているが、その上はいかにも陰気くさそうな古い墓地なのである。