一服

 朝4時前に何か音がしたようで目が醒めてしまった。 昨日は12時過ぎに酒を飲んでようやく寝たというのに・・・軽くビールを飲みながら一時間ほどPCをしていたら5時過ぎにようやく少し眠くなり、それで5時から一時間ほど眠る。 最近は古民家のことで少し気が立っているせいか睡眠時間も短い日が続いている。 これは果たして良いことなのか、悪いことなのか・・・ 
 午前中母親と親父の墓参りに行く。 朝のうちから曇りで比較的涼しかったが、墓場では風はあったものの日が差してたくさんの墓石の照り返しで暑かった。
 母親に畑で採れたナスやトマト、キュウリを分けると喜んでいた。 以前はモノをもらってもあまり喜ばなかった人だったが、最近は少し変わってきたかようだ。

 
  古民家めぐりを終えて神戸での滞在が残り三日間となった時点で、気が抜けたようになってしまった。 これまでおもにネットで一千万円以下の古民家を探し出して、ピックアップしたものを彼女と次々に見学して行ったが、どれももうひとつ気持ちが動いてこなかった。
 あの時点であえてひとつ、これまでのベストワンを選び出すならいちばん最初の6月に初めて行った兵庫県の中西部にある佐用町にあった500万円を切る値段の一軒となるが、その物件は後で問い合わせるとすでに売却済みという返事だった。 やはり良いなぁと思うものは誰もが、そう思うのであって早く買い手がついてしまう。
 気持ちの中では、蚊が飛び交っていた春日町の物件NO,1がまだ強く残っている。 値段は600万円とそこそこなのだが、問題は付属する納屋の屋根の部分が痛みようが激しく、それを含めて再建するにはかなりのお金がかかりそうなのである。
  それでも何もしないでぼんやりしているような気分では到底おれなくて1000万円以下に良い物件がないとなれば、クラスを一つ上げて1000万円から1500万円に絞るしかないかなぁと考えて、それらの物件をネット情報から拾い出しはじめる。
 絞り込んで10件ほど書き出したが、思ったようにそれらは2つのグループに分けることができる。
 一つはごく普通のクラスの古民家を便所を水洗にしたり風呂を新しくしたりして、つまり水周りを整えて台所を床張りにしたりしてリフォームされているもの。 もう一つは元々大きく立派な家だが、リフォームされず本来の古民家の姿が残されているものの二つである。 前者の場合はたしかにその後の出費が少なくて済むが、オフが一番やりたい再生の仕事が少ないだろうし、さらにリフォームの仕方が古民家の雰囲気を壊しているものが多く、どことなく気に入らないものが多くイマイチ面白みがない。
 後者はいろいろと手を加える所は沢山あって魅力的だが、総計がかなりお高くついたものになってしまう。 元々しっかりした部材を使った大きな屋敷を再生するのはかなり魅力的であるのだが、再生した後の値段を考えてしまうのだ。 二千万を越すような古い家を求める人は極めて限られてしまう、ということなどを考えると気持ちがどうしても前向きになっていかない。

 そこで茅葺の古民家というコンセプトを外して、屋根が瓦葺でもよいから築年不詳の古い農家のお安いものを調べていった。
  築年が不詳の古い民家の中にはそれを以前に改築した時、屋根を茅葺から瓦葺に替えた家が多々あるが、そんな家でも良いのではないかと思いはじめたのである。 1000万円弱で拾い出していくと、今度も十件ほど出てきた。 でもこの手の農家は、改装のとき二階を付け足したりして建坪を大きくしているものが多く、お安くても1000万円に限りなく近いクラスが多い。 その中でも比較的安く部屋取りが田の字型の原型を残しているは二,三軒しかない。  今度はこれらに的を絞って見学して行こうかと考え直すと、おかしなもので少し気持ちが楽になり、前向きな気分になり始めた。