再び見学に・・・

 ところが・・・である、神戸から帰ってきて三日目夜眠っていて、やはり最初のコンセプトである茅葺の古民家にこだわろう、という思いが眠りながら夢の中でお告げのように出てきた。
 それに最初見学する計画に入っていながら、まだ見ていないもう一つの物件が気になりだしていた。
 それは京都府綾部市にある物件で、ネットでも見れるが、田舎暮らしの雑誌などにも掲載されている物件である。 地図で調べると、それは舞鶴市に住む弟の家よりさほど遠くない場所にある。
 そこで弟と連絡を取ると、場所はだいたい見当がつくと言うし、目の前の3連休中なら案内出来るという返事である。 しかし、たった一つの物件だけでわざわざ四時間もかけて京都府まで出かけていくのも能のない話なので、以前紹介があった不動産屋の物件で1200万円というお高いので敬遠した家も近くの上林地区にあるので不動産屋と連絡を取る。 ところがこれは先日ほぼ成約したらしいが、見てみるだけなら案内しましょう、という返事だったので、見るだけと断って案内を請う。
 それに弟が車で走っている途中の街道でたくさんの看板を立てて売り出していたという古民家も見てみよう。 さらにネットでの掲載はなかったが、雑誌に出ていたという弟が薦める物件もと、あわせると何とか4件組み合わせができた。


 17日の午後からマロクンを散歩させ、たっぷりのドッグフードを皿に盛り、一路弟の家のある舞鶴へ。 最悪帰りが遅くなった場合金沢終点で帰ることも考えて、途中の加賀温泉駅まで高速を使って車で行き、駅前の大型スーパーの駐車場に車を一晩置かせてもらうことにして、敦賀まで特急に乗る。 敦賀から小浜線というローカル列車に二時間乗って東舞鶴へ。 その夜は弟の家で一泊して翌日の午前中ほぼ決まっているという1200万円の物件をまず見る。
 幹線道路から1キロほど入った山際の部落の真ん中にある家は、母屋、納屋、蔵、庭と一揃いある古民家としてはやや大きめに家だった。 家主さんは他所に家を建てて長い間誰も住んでいなかったような家で、台所が土間で昔の姿のまま残されている。 ここを数日前に多分買うと言った人は、もともと綾部出身で東京住まいの作家だそうである。 たしかに一揃いセットになってまとまった家だが、どこか惹き付けるものに欠ける家だなという印象で、他人の手に渡っても惜しいとは思わない程度の家であった。

 弟が執着していた二件に触れておく。
 まず雑誌で見たという家は、地図で見る限りかなり山の中かと思っていたが、そうでもなかったが、もう家自体が傾いていて見ただけで、これダメ!の家だった。
 しかしその家の近くに素敵な古民家があったので寄ってみると、なんと最近ワザワザ内部のサスを丸太で組んで茅葺屋根を葺いた家で、母屋だけでなく横に茅葺の長屋門まであり、それも新たに屋根を茅で葺いてある。 壁はスサを混ぜた黄土色の土壁で所々筋交い柱を入れて、それをわざわざ見せる造りである。 これは新たに建てた古民家で、昔の石置きの基礎の上に土台を横に置いて柄を立てているが、柄は全部新しいし多分ヒノキであろう。 所々ホゾ穴のある古い栗の木の土台は綺麗に防腐剤を塗られていて、多分いろんな所から部材を集めてきて小高い丘の上に現代人が考えて建てた、言ってみれば理想的な古民家なのである。 見れば見るほど唸りが出る造りである。 古民家には雨樋などというものはないのだが、もちろんこの家にもない。 しかし雨の落ちる地面には一尺(30センチ)ほどの幅で瓦を垂直に二列並べて埋め込み、屋根の構造に沿って建物の周りに配されていて、その中にバラスが引いてある。 落ちた雨がすぐ土に沁み込みやすいようにだ。 蔵の外部に大型の室外機が三台並んでいる。 もちろん建物からの見えない側にだ。 おそらく床暖房や室内のエアーコンデションがなされているのだろう。  おそらく何処かのお金持ちが、年数回しか使わないのだろうが、各地の古民家を解体して古い部材を集めて、お金に任せて設計士付きで理想の古民家をここに再現したのだろうと思う。 
 建物は外部からしか見えないがとにかく、まあ、まあ、まあ、と驚きの連続である。 しかし、ここまで現代人の頭で考える理想の古民家を見せ付けられると、かえって嫌味なものを感じ、サムクなるのはオフのヒネクレ根性のせいだろうか。

 さらにももう一件、街道沿いにたくさんの看板が建てて内覧会をしている古民家について。
 現場に着くと建物の外部に机と椅子を置いて待っている男二人が、さあ、さあ、さあと迎えてくれた。
 その建物を見たとたん、アッこれはネットに出ていた古民家だ、とすぐ分った。
 http://www.furusatokikaku.net/furusato.cgi?cmd=dp&num=79

 クリックで部屋内部の写真や部屋取り図を拡大して見れるが、この設備(大型温水器、IH式電化されたキッチン、台所の床材はこだわりの米クサマキではないだろうか?、新たに漆掛けした柱や板)で、この値段! たしかにオフも、うん、うん、これはお買い得だ!と素直に思う。

 しかし、あえてケチを付けさしてもらうと・・・まず建物の向きであるが、玄関が東を向いた構造である。 元々この家がそうなのでそれは仕方がないのだが、南北の自然の風の流れを建物内部に取り入れる工夫がゼロである。 完全に北と南を壁で塞ぐように後からのリフォームがなされているのが、この建物の大きな欠点であり、それが腹立たしい。 オフならまず北側の押入れを取壊して、そこを縁にして床からのガラス戸を入れるだろう。 その場合代わりに押入れを西側の縁に配置する。 また光が終日入る南側を風呂やトイレの設備や、押入れで塞いでしまわないで、大きく窓で開口をする構図に配する。 今更言っても詮がないが、最初にリフォームした時にそうすべきだったのだ。 玄関と板の間の間も見えるのが嫌なら下部と上部に見えない窓か、あるいは縦長のさりげない開口窓などを設けて風の道をつける。
 そしてここが肝心なのだが、玄関奥の板の間は現在廊下のような通路としてしか機能していないが、奥の土間を全部板の間にしてダイニングを広くする。 奥の左側の六畳も板の間にしてさらにダイニングを拡げる。 玄関土間を奥半分板の間にして、そこを廊下代わりとして使う。 しかし、いくら良くなるからと言っても、この上リフォームしてさらにお高いものにするのは考えものである。
 

 そして次が今回の本命の綾部の家である。

 http://www.inakakurashi.jp/search/search.cgi?tid=1&equal1=878

 結論から言えば、見ているうちにこの家が気に入って、ここに決〜めた、と思った。