マリッジブルー?

 朝晩のヒグラシの鳴き声最高潮である。 朝は大体四時半頃から鳴き始める。 何処かで一匹が遠慮がちに鳴くと、鳴き声の輪はだんだん広がってしばらくすると最高潮に達し、それを過ぎるとまたじょじょに遠のいてゆく。 日が照っている時は日中はまず鳴かないが、曇っていたりやや涼しい日は日中でも鳴いたりする。 ヒグラシの声が良いなぁと思うのは夕まずめで、日が落ちてだんだん暗くなるに連れて遠くの方で鳴くようになり、ある時点でパタッとその鳴き声はやむ。 その頃はもうあたりは暗くなり始めている。
 どうやら台風7号が本州を直撃しそうである。 今年はまだ太平洋高気圧がまだ勢力がそんなに強くなく、台風にど真ん中を割って通られそうである。 このコースだと向かって来る時は北東の風、過ぎると西風になる。 しかし予想進路がここへ来て微妙に東に逸れはじめているので、意外と当地への被害はなさそうな気もてきた。
 今日、昨日に引き続き自宅の草刈をした。 今日で草刈は全部終えて、台風に備え戸締りはキチットしてきた。 果樹園に桃がたわわに実っているが、少しはもいで来たが残りの実は全部落ちるだろうなぁ。 ナスも風にあおられると実の表面が焼けて硬くなってしまうが、こちらも少々小さいのも収穫をしておいた。


 あれほど浮かれていた古民家だが、大方の話が決まってあとは契約だけという段階にきて気持ちが静かになり落ち着いている。 いや、落ち着いているというより、マリッジブルーのような後ろ向きな気分にすらなり始めている。 どちらかといえば悪いふうに悪いふうに考えがいってしまう。 自分の技量に対しても少しづつ疑問がでてきて、自信がなくなり始めているし、リフォームしたとしても誰も買い手もつかない、どころか見に来る人も一人もいない・・・などと思い始め欝な気分に襲われたりしている。
 やはりこのようなことは勢いで行くしかないようだ。 へんに時間が空いてしまうと人はろくでもないことばかりを考えはじめてしまう。
 今の山の家をはじめた後でも、かなり落ち込んだことがあった。 基礎工事を曳き屋に頼み、その後大工さん一緒に土台の伏せ、屋根仕事をしてそれが終り来年からいよいよ一人で、という段階になってすっかり自信をなくして一時はしんけんに止めようか、とさえ思いはじめていた。 そんな時雪に埋まった山の家へ来て、長い間大きな柱や梁をぼんやり見上げていて、結論を言えばそこから力をもらって、よしやろう!という気持ちがふつふつと心の内に沸いてきた。 そんなことがあった。