『聖者は海に還る』


 朝方から久しぶりに雨、午前中はウトウトしながら本を読んでいた。 雨はお昼前に上がる。
 午後からは先日の続きで土間の大豆を莢から出す作業をする。 埃っぽく途中喉がいがらっぽくなり咳がでる。 先日からツバメが土間に入ってきて巣作りの準備に入っているが、どうやら昨年の巣をまた今年も利用するつもりらしい。 何時になく土間に人間がいバシバシと音を立てて作業しているので入ってきても隅のほうで恐る恐る見ている。 夕方前に作業は終りマロクンと散歩に出かける。 途中ほんの一握りのワラビを採って帰り、灰を入れたお湯で湯がいて夕食に三杯酢で食した。
 散歩の途中にはタラの芽も大きくなり始めていて、近日中に天ぷらをして食べようと思っている。
 また台所の窓の外は裏の崖が見えるのだが、そこに当地方ではセン菜と呼ぶワサビの菜がたくさん出ていいてもう白い花が咲きはじめている。


 山田宗樹著の『聖者は海に還る』を読んだ。
 いわゆるライトノベル系の小説である。 それは分っていたが、何かで今注目の作家と書いている人がいて借りてきた。 読んでいて、これは売れるだろうなぁ、と思わせる内容だった。 出版社は幻冬社で成る程なぁである。 ただ文章はなんとかプロ合格かなといえるものであるが、この程度ならたくさんいるし、下手といえない部類なんだろう。 久しぶりにこの手の小説、つまりストーリィの展開で読ませる小説を読んだなぁ、というのが感想で、馬鹿な!と思いながらも読んでいる間はそれなりに楽しませてくれた。 そのストーリィとは、ある少年が猫殺しを始め、それに気がついた母親が心理カウンセラーに相談に行く。 そのカウンセラーは現在では学会から危険だということで批判さていて事実上封じられている睡眠療法なのである。 セラピストは有名なロールシャッハ・テストでクライアントの少年の異常な心理の根元を探り、その心理を催眠状態に導入しその根元の心理を凍結し無意識の奥へ封じ込め、少年は完治する。 十数年後、とある中高一貫の私立進学校で、中学生が拳銃で教師と生徒を撃ち殺すという事件が起きる。 その学校はその後スクールカウンセラーを招聘する。 じゃじゃ〜ん!そこへ現れたのは、色白で女性的だが存在するだけでまわりをワクワクと明るくさせるような少年の風貌を持った大人の男だったとさ・・・