『ジュリエッタ荘の幽霊』

 どうやら昨夜の雨で一段落したみたいだが、すっきりとした夏空が戻らない。
 午後からはなんとなく空気が少し乾いてきて、これまでのねっとりとした暑さとは少し違ってきた。
 終日山の家で本を読んだりしていた。 先に買ったブックスタンドはますますお気に入りで、広間の板の間の上に寝転がって本を読んでいる。 夕方マロクンと散歩に出かける。 まだほんの少しだが葛の花や萩の花が咲きはじめている。 もうすぐ空も澄み渡るだろう、秋は近い。
 

 べアトリーチェ・ソリナス・ドンギ著の『ジュリエッタ荘の幽霊』を読んだ。
 作者はイタリアの女性で、これは少年少女向けの作品である。
 時代は第二次世界大戦の最中、場所は北イタリア、主人公の少女は母親の郷里の村へ疎開している。 疎開先の村で少女はたまたまある屋敷に隠されている秘密を知ることになり、その秘密を知ることから事件に巻き込まれていく。
 父親はドイツ軍の捕虜となり、遠くポーランドの収容所にいる。  村にはドイツ兵やファシスト達の車が走り、山岳地にはパルチザンが立てこもりドイツ軍に抵抗している。 その村には「のろわれた屋敷」と呼ばれる家があり、村の人の話では昔その屋敷で亡くなった少女の幽霊が出るという噂がある。
 主人公ははその屋敷の近くで夕暮れ時白い服を着た少女を見かける。
 
 今回なにげなく五冊の新刊書を借りてきたが、その中の三冊が少女や少年を主人公にした作品だった。 夏休みということもあり、新刊書は主として子ども向きの作品から選ばれていたのかもしれない。
 オフはこういう作品は嫌いでない。 大人向けのミステリーや殺人事件が次々に起きる探偵や刑事が活躍するものなどを読むよりこちらのほうがむしろ好きだ。 大人になってからも岩波少年少女文庫のアラン・ガーナー著の『ブリジンガメンの魔法の宝石』とか『ふくろう模様の皿』。 エリオット・ピアスの『トムは真夜中の庭で』とか『まぼろしの小さな犬』などを面白く読んだ思い出がある。