小説

 『千々にくだけて』

曇り空というより、低いモヤにすっぽりと覆われていて日の光が地上まで届かないといった感じである。 暑くはない、寒くもない。 外仕事にはもってこいの日々が続いている。 日曜日の山登りで身体のあちらこちらがイタタなのだが、昨日も今日も薪切りは続けて…

 『アルカロイド・ラヴァーズ』

ホウの木に白い大きな花が咲いている。 飛騨などではホウ葉味噌などにするあの大きな葉っぱの木である。 おそらく周辺の山の木々の中では一番その葉が大きいのではないだろうか。 少し似ているのにトチの木があるが、トチの木はこの辺にはなく、もう少し高い…

 『泣かない女はいない』

予報では午後から雨となっていた。 ここのところ少しあわただしかったので今日は休養日にする。 午前中マロクンと散歩に出る。 なにも予定がない日は散歩も、ダイエットにはならないが周りの木々の様子などを丹念に見ながら歩ける。 何げなしに見ている木々…

 『こぶしの上のダルマ』

昨日、ホトトギスの鳴くのも近いだろう、と書いたが、さっそく今日マロクンとの散歩の途中でそのホトトギスのテッペンカケタカという鳴き声を聞いた。 最高気温が夏日の25度を下回るが、20度以上にはならないという良い天気が続いている。 最低気温が10度を…

 『ミリオンズ』

暑くもなく、寒くもなく、カッターシャツ一枚で戸外を散歩できる、今がまさにそんな季節である。 散歩する山の道では藤、ミズキ、タニウツギなどがたわわに咲いている。 とくに今年のタニウツギ、卯の花が鮮やか咲いている。 ホトトギスはまだ鳴いていないが…

 『十一月の少女』

ゆっくり走る夜のローカル線の車窓からは、田植えを終えて水を張った田圃が光りに浮かび上がる。 列車の進行と共に通り過ぎる家々が、あたかも水を張った田圃に浮かんでいるように見えるが、それが夢の中のようにつぎからつぎ闇の中へ消えていく。 昨夜、九…

 『彼方なる歌に耳を澄ませよ』

今日も良い天気、自宅へ行って昨日昨年のマルチングを取った畑を起した。 鍬ではなくてミニデーラーで。 鍬を持って畑を起すなどということなどもう出来ない。 間違いなく翌日から腰が痛タタ〜タになるからだ。 ミニデーラーを使ってでもパワーがないので、…

 『カギ』

昨夜のお昼過ぎから降り始めた雨は、夜中にいったん上がっていたようだが、夜半過ぎにまた降りだし、日が昇る頃から小降りになりやがて止んだ。 休養日にして山の家で一日を過ごした。 マロクンと久しぶりにゆっくり散歩をした。 昨日午後からの雨のため散歩…

 『聖者は海に還る』

朝方から久しぶりに雨、午前中はウトウトしながら本を読んでいた。 雨はお昼前に上がる。 午後からは先日の続きで土間の大豆を莢から出す作業をする。 埃っぽく途中喉がいがらっぽくなり咳がでる。 先日からツバメが土間に入ってきて巣作りの準備に入ってい…

 『ナターシャ』

数ヶ月ぶりで山の家での朝を迎えた。 昨夜夜半過ぎ激しい雨が降っていたが、朝には晴れていた。 黄砂で空は曇り日中も時々雨が降る不安定な天気。 お昼前マロ君をつれて旧山田村の方面へ散歩に出るが、途中で突然のわか雨に会う。 近道しようと山の斜面を登…